人体・生命

なぜ乗り物に乗ると酔うの?

まず答え

乗り物酔いは、目や内耳、筋肉や関節から脳に届く「体の動き」の情報が食い違うと起こりやすくなります。たとえば車の中で本を読むと、体は車の揺れや曲がりを感じるのに、目は手元のページを見続けます。脳が受け取る情報が合わなくなることが、酔いにつながると考えられています。

体はどうやって動きを知るの?

内耳の奥には、体の傾きや動きを感じる器官があります。三半規管は頭が回る動きを感じ、耳石器は頭の傾きや前後・左右・上下への動きを感じます。目は周りの景色の動きを伝え、筋肉や関節からも体の姿勢や動きの情報が脳に届きます。

脳はこれらの情報をまとめて、自分がどちらを向き、どう動いているかを判断します。また、これまでの経験から「次はこう動くだろう」と予想しています。実際に届く情報がその予想と合わないと、脳は体の動きをつかみにくくなります。これが、乗り物酔いを説明するために最も広く受け入れられている考え方です。

本やスマートフォンを見ると酔いやすいのはなぜ?

本やスマートフォンを見続けると、目は手元の同じ場所を見つめ、窓の外の景色が流れていることをとらえにくくなります。一方、内耳や体は、加速やブレーキ、カーブの揺れを感じています。目が伝える情報と、内耳や体が伝える情報のずれが続くと、気分が悪くなることがあります。

逆向きのずれもあります。VRや動く映像では、目には自分が動いているように見えても、体や内耳は同じ動きを感じない場合があります。そのため、乗り物に乗っていなくても、映像を見てめまいや吐き気が起こることがあります。

なぜ吐き気や冷や汗が出るの?

乗り物酔いでは、吐き気や嘔吐のほか、めまい、あくび、眠気、顔色が青白くなる、冷や汗などが出ることがあります。動きの情報の食い違いに脳が反応し、体のさまざまな働きにも変化が起きると考えられています。ただし、なぜその反応が吐き気につながるのかなど、細かなしくみはまだ完全にはわかっていません。

同じ乗り物に乗っても、酔う人と酔わない人がいます。揺れの強さや体質、過去の経験などによって感じ方が変わるためです。同じような動きにくり返しふれるうち、脳がその動きに慣れて、酔いにくくなることもあります。ただし、慣れるまでには時間がかかり、別の乗り物や揺れ方でも同じように効くとは限りません。

少し楽にするには?

  • できれば遠くの景色や水平線を見る
  • 本やスマートフォンを見るのを休む
  • 揺れの少ない席を選び、頭を大きく動かさない
  • 換気できる場合は新鮮な空気を取り入れる

こうした工夫は、目と内耳が伝える情報のずれや、体に伝わる揺れを小さくする助けになります。ただし、いつも酔いを防げるとは限りません。酔い止め薬には眠気が出るものもあるので、使う場合は説明書を読み、年齢や体の状態などで迷ったら薬剤師や医師に相談してください。

参考資料