なぜパンは時間がたつとかたくなるの?
まず答え
パンがかたくなるのは、焼いている間に水分を吸ってやわらかくなったでんぷんが、冷めたあと少しずつ並び直すためです。パンの中と表面のあいだで水分も移動します。パンから水がすべて抜けるから、というだけではありません。
焼きたてのパンの中では何が起きている?
小麦粉には、でんぷんがたくさん含まれています。パンを焼くと、でんぷんは熱と水分のはたらきで水を吸ってふくらみ、もとの粒の形や並び方が変わります。この変化を「糊化(こか)」といいます。焼きたてのパンの中が、しっとりやわらかいのは、この変化も関係しています。
冷めると、でんぷんが並び直す
パンが冷めてから時間がたつと、でんぷんの一部が、少しずつ規則正しい並びに変わります。特に、でんぷんの成分の一つである「アミロペクチン」の変化が、パンの中をかたくする大きな要因です。でんぷんが並び直すこの変化は「でんぷんの老化」と呼ばれます。パンが腐るという意味ではありません。
焼きたてのやわらかさが失われる変化全体を、パンの「老化」と呼ぶこともあります。科学者たちは、でんぷんの変化だけでなく、ほかの成分や水分の動きも関わる複雑な現象として調べています。
水分もパンの中で動く
パンのやわらかい中身と、外側の皮のあいだでも水分が移動します。中身から皮へ水分が移ると、中身は乾いたように感じ、皮はやわらかくなることがあります。水分がパンの外へ出ていく場合もあります。こうした水分の変化と、でんぷんの並び直しが重なって、パンはかたくなります。
袋に入れて外の空気に触れにくくしても、パンの中のでんぷんが並び直す変化は続きます。そのため、パンの表面が乾いていなくても、時間がたつとかたくなることがあります。
1. でんぷんの一部が並び直す
でんぷん分子の一部が、少しずつ整った並びに変わります。
2. 水分が中身から皮へ動くことも
パンの中身と皮のあいだを、水分が移動します。
冷蔵庫なら、やわらかさを保てる?
必ずしもそうとは限りません。白いパンを調べた研究では、冷蔵温度では室温より、でんぷんの結晶化が速く進みました。パンの種類や包み方などによっても変わるため、どのパンにも同じ結果が当てはまるとは限りません。
パンのかたさは、乾燥だけでなく、目に見えないでんぷんの変化にも左右されています。パンがふくらむしくみと合わせて考えると、焼く前と焼いた後で、でんぷんの状態がどう変わるかが見えてきます。