HTML

address 要素

 address要素は、連絡先情報に使います。ただし、HTML5仕様では、その用途とマークアップする場所について厳密に規定されています。

 まず、address要素の用途ですが、該当のページの Web管理者や、記事の著者への連絡先情報に限られます。よく、ページ・フッターで、サイトの管理者の連絡先として使われます。または、ブログサイトやニュースサイトなどで、個々の記事の著者への連絡先として使われます。

 次に、address要素をどこで使うかによって意味が違ってきますので、注意してください。ブログ記事などを表している article要素の中で使われれば、それは該当ブログの著者への連絡先情報を意味する事になります。そうでなければ、ページもしくはサイトの連絡先情報となります。この規定は、HTML5で新たに導入されました。

address要素の概要

カテゴリー
フロー・コンテンツ
コンテンツ・モデル
フロー・コンテンツ。ただし、この要素の子孫にヘッディング・コンテンツとセクショニング・コンテンツを入れてはいけません。また、header要素と footer要素も入れてはいけません。
利用可能な場所
フロー・コンテンツが期待される場所
タグの省略
不可。開始と終了タグの両方が必要。
要素固有の属性
なし
標準的なスタイル

address {
	display: block;
	font-style: italic;
}

address要素のマークアップ例


<body>
<h1>コラム</h1>

<article>
	<h1><a href="/columns/245">iPhone 3GS 徹底活用</a></h1>
	<p>iPhone 3GS を何に使っていますか?実は、もっと便利に活用する方法があるんです...</p>

	<footer>
		<address>著者 : <a href="http://taro.example.jp/">山田 太郎</a></address>
	</footer>
</article>

<article>
	<h1><a href="/columns/244">Windows 7 トラブルシューティング</a></h1>
	<p>Windows 7 で困った事はありませんか?よくあるトラブルの解決の秘訣を教えます...</p>

	<footer>
		<address>著者 : <a href="http://hanako.example.jp/">田中 花子</a></address>
	</footer>
</article>

<footer>
	<address>当サイトに関するご意見は info@example.jp まで。</address>
</footer>
</body>

 この例は、複数の著者が寄稿したコラムを掲載するサイトを想定したものです。2つのコラムが article要素でマークアップされていますが、その中で、そのコラムの著者を address要素でマークアップしています。

 また、ページの最後にはページ・フッターがあり、その中でサイト管理者の連絡先が address要素でマークアップされています。

間違った利用法

 では、よくある間違った使い方を見てみましょう。

間違った address要素の使い方


<article>
	<h1>お気に入りのラーメン屋</h1>
	<p>今日、「○○亭」ってラーメン屋に行きました。この店、おいしかったので、みんなに紹介するね!</p>
	<address>
		123-4567 東京都豊島区東池袋1 ××ビルB1<br>
		TEL : 03-0000-0000
	</address>
	 :
	 :
	 :
</article>

 この例は、ラーメン屋を紹介したブログ記事を想定しています。ラーメン屋の住所・連絡先に address要素を使っていますが、これは仕様に準拠した使い方ではありません。HTML5に限らず、HTML4でも、このような使い方は間違いです。

 もし、そのブログ記事の中で、address要素を使ってラーメン屋の連絡先情報をマークアップしてしまうと、セマンティクスとしては、サイトまたはページの連絡先情報を表すことになってしまいます。もし、この状況でラーメン屋の連絡先情報をマークアップしたい場合は、p要素などを使い、通常の文章と同じ扱いにするべきです。

 このように、サイト管理者や、記事の著者とは関係がない連絡先情報については、address要素を使わないように注意してください。address要素はメイン・コンテンツの一部を表すのではなく、どちらかと言うと、ドキュメントや記事のメタ情報と考えた方が良いでしょう。

 例えば、ショッピング・サイトでは、問合せ先として、サイトの右上にデカデカと電話番号が掲載されている例をよく見かけます。これは、address要素を使っても良いでしょう。

 しかし、会社概要のページに掲載する住所や電話番号には、address要素を使ってはいけません。例え、それがサイト管理者の連絡先情報と同じだとしてもです。なぜなら、これはページのメタ情報ではなく、メイン・コンテンツだからです。

 HTML5仕様では、ブラウザなどのユーザーエージェントが、ページや記事の連絡先情報を address要素を元に HTMLから抜き出して、それをユーザーに表示するといった機能を実現できる事を想定しています。つまり、プログラムが、ページや記事の連絡先情報を容易に取り出せる事を想定しているのです。そのため、誤解を招くような用途や場所で address要素を使う事がないよう気を付けてください。